
前回「qSOFA」について学べたから、発熱時のアセスメントは完璧だね!

qSOFAで「緊急度」のアセスメントができるようになったね。
でも実は、発熱時はもう一つアセスメントするべきことがあるんだ。
今回は、発熱の「原因」のアセスメントについて分かりやすく解説するよ!
今日のポイント
原因不明の発熱は「感染臓器」をアセスメントしよう!

発熱の原因を特定できれば、正しい治療と患者さんの回復につながるよ。
自分が患者さんの回復に貢献できているって実感出来たら、きっと看護が楽しくなっていくよ!
発熱の3大原因:まずは感染症を疑おう
発熱の原因は主に、感染症、悪性腫瘍、膠原病です。
このうち最も頻度が高く、早期の治療で治療効果が出やすいのが感染症です。

悪性腫瘍は、腫瘍熱と分かっても、ひとまず対症療法しかできません。
膠原病は、診断するのが容易ではないし、病棟で新たに発見される頻度は低いです。
その点感染症は、最も頻度が高いうえ、すぐに治療(抗生剤投与)を開始しなければ敗血症になってしまう、つまり致死率の高い重症な状態に陥ってしまう可能性が高まります。

だから、まずは感染症を疑うんだね!

膠原病や悪性腫瘍が原疾患にあることが分かっていても、感染症を併発している可能性を考慮しよう!
感染症を疑ったら?:感染臓器を特定しよう
感染症から敗血症に移行させないためには、できるだけ早く感染臓器を特定し、効果のある抗生剤を投与することが求められます。

感染臓器に関する情報(肺炎か、尿路感染症か、etc)をもとに、どの抗生剤を投与するか選択します。
この感染臓器の特定に役立つのが、看護師の報告です!

看護師の報告が役に立つってどういうこと?

看護師の視点でしか知り得ない情報がたくさんあるんだよ。
病棟で起こりやすい感染症について、臨床で使える見分け方を紹介するね!
感染臓器の特定:症状と特徴を知ろう
肺炎

肺炎の一般的な症状は、咳嗽、喀痰、呼吸苦、呼吸数増加、SpO2低下、胸痛
聴診にて肺雑音、呼吸音減弱・左右差です。
また、肺炎と一口に言っても、市中肺炎か、院内感染か、誤嚥性肺炎か、人工呼吸器関連肺炎か、によって考慮する抗生剤が変わります。

例えば、食事中のむせ込みや、食事摂取時間の延長、食事摂取量減少、食事中の姿勢が悪い、食物残渣が多い、歯磨きができていないなどは誤嚥性肺炎の要因になり得ます。
さらに、同室に感染症患者さんがいる(いた)場合には、院内感染の可能性があります。

こういった情報は医師は知らないことも多いので、必ず報告しましょう。
尿路感染症
尿路感染症の一般的な症状は、排尿時痛、血尿、頻尿、尿の濁り、悪臭、下腹部痛(膀胱炎)、腰背部痛(腎盂腎炎)です。
他に、尿道カテーテルを挿入している場合は尿路感染症のリスクが高まります。
カテーテルの不適切な扱い(交換期限が過ぎている、尿バッグか膀胱より高い位置にあるなど)は、さらに尿路感染症のリスクを高めます。

尿バッグ内が紫色に変色している場合、尿路感染症もしくは便秘が原因です。
おむつ内失禁や水分摂取量減少も尿路感染症のリスクとなります。
これらの症状がひとつでも見られる場合、尿検査や尿培養検査を実施する可能性が高いです。
尿路感染症を疑ったら、尿検査や尿培養検査の検体を採取しておきましょう。

必要な時に限って排尿がない・・とか取り忘れた・・はあるあるだよ~。
カテーテル感染
カテーテル感染は、医療者は決して見落としてはいけない感染症です。
カテーテル類(CV、末梢留置針、膀胱留置カテーテル、ドレーンなど)の挿入部の疼痛、発赤、腫脹、熱感がないか確認しましょう。
他部位の感染症が疑われても、上記の症状は必ず確認し、記録しておくとよいです。
またこれらの症状がなくても、カテーテル類が適切な期間で交換されているかを必ず確認し、報告しましょう。
症状があるか、期限切れの場合はカテーテルを抜去することになりますが、このときカテーテル培養を実施するかもしれないことに注意します。

カテーテル先端をそのまま検査に出すか、カテーテルを通過した血液をシリンジで吸引して検査に出す場合があります。
これらを実施するか医師に確認してから抜去するようにしましょう。
胆嚢炎・胆管炎
胆道感染症(胆嚢炎・胆管炎)は、発熱とともに右季肋部(みぎきろくぶ、右の肋骨の下あたり)痛や腹部膨満感、圧痛・反跳痛などがみられることがあります。

大きな手術や長期間の点滴栄養などをきっかけに起こることも多く、特に訴えが乏しい寝たきりの患者さんに注意が必要です。
患者本人から訴えなくても、
- 食欲が急に落ちた
- 嘔吐している
- 体を丸めるようにして痛がっている
- お腹を触ると嫌がる
といった症状があれば、胆嚢炎・胆管炎の可能性がありますので、報告しましょう。
褥瘡・創部感染
褥瘡や創部がある患者さんは、発赤、腫脹、熱感、異常な浸出液の増加があれば感染が疑われます。
創部の経過は、特に初めて見た当直医などには判断が難しく、看護師が頼りです。

正常時も創部をよく観察し、DESIGN-Rや写真撮影、ノギスを使用した発赤・腫脹部の計測やマーキングなど、記録をしておきましょう。
医師への報告:アセスメントも伝えよう
ここまで説明した症状をただ羅列した報告は、伝わりにくい報告です。
「発熱があり、肺雑音も聴取されます。」だけではなく、
「発熱があり、肺雑音も聴取されるため、肺炎の疑いがあります。」と伝えましょう。
医師なら分かるだろう、とか、自分の考えは違うかもしれない・・と思わず、アセスメントを伝えることで、相手が想像しやすい報告になります。

できるかな・・・

なぜそれを報告しようと思ったのか、を伝える意識をしてみるといいよ!
分からない場合は、先輩と一緒にアセスメントしてから医師に報告するといいね!
まとめ
原因不明の発熱は「感染臓器」をアセスメントしよう!

今日は発熱の原因のアセスメントについて解説したよ!

「どこの感染症か」って考えるなら、私にもできるかも!

ナスちゃんその調子!
これからも一緒に勉強していこうね。
よかったら読者登録して次回記事も楽しみにしてね。
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