【第3回】ぼんやりしてても大丈夫?発熱のアセスメント【看護のコツ】

ゆず
ゆず

こんにちは、ゆずです!

今日は発熱時のバイタルサインについて解説していきます。

ナスちゃん
ナスちゃん

発熱したときはぼーっとすることが多いと思うし、発熱の影響として様子見じゃダメなのかな・・

どうやって判断したらいいのか分からないよ~

ゆず
ゆず

アセスメントのポイントがあるから大丈夫!

発熱時のバイタルサインは、qSOFAを報告する!

qSOFA基準

・意識レベルの変容(GCS<15

呼吸数≧22回/分

収縮期血圧≦100mmHg

発熱時に一番最初に考えること

発熱した患者さんがいるとき、一番最初に考えること。

それは、敗血症に移行するリスクがどの程度か、ということです。

敗血症とは、感染症に対する宿主防御反応の制御が上手くいかず、重要臓器の急性機能不全を併発した病態。すべての感染症で起こりうる。

さらに敗血症ショックに移行した場合、致死率は40%を超える1

発熱時は、

敗血症に移行させない(早期に抗生剤を投与する)

敗血症を早期発見し生命維持の治療を開始する

これが最も優先される対応です。

ゆず
ゆず

発熱したらみんな敗血症になるわけじゃないから、こわがらなくて大丈夫。

だからこそ、リスクがある患者さんを的確に拾い上げる必要があるんです。

そしてリスクの程度を査定するのに使われるのがqSOFAです。

qSOFAって何?

敗血症は「臓器の急性機能不全」を起こした状態です。

「SOFAスコア」を用いて臓器障害の程度を評価し、敗血症の診断が行われます。

SOFAスコアは、呼吸(肺の酸素化能(PaO2/FiO2価))、循環(血圧・循環作動薬の投与量)、(尿量・血清クレアチニン値)、(血清総ビリルビン値)、血液凝固(血小板数)、中枢神経(GCS)を点数化したものです。

この点数を出すには、動脈血血液ガス分析、血液検査が必須となります。

そのためまずは、これらの検査が必要か、どの程度の緊急度かをはかるために使われるのが、「qSOFA(quick SOFA)」です。

ゆず
ゆず

ではqSOFAの観察ポイントを解説するね。

qSOFAを使ってみよう!

①意識レベルの変容(GCS<15)

GCSは、15点満点の意識状態を評価するスコアです。つまり、いずれか1点でも低下していればこの項目に当てはまります。

もともと意識清明な患者さんなら「自発的に開眼しない」、「失見当識」、「命令に応じられない」のいずれかが見られたら、

もともとの意識混濁のある患者さんでもGCSが1点でも低下していたら、意識レベルの変容として報告しましょう。

②呼吸数≧22回/分

成人の呼吸数の基準は、12-20回/分です。緊急時には、15秒測定して4倍した値を呼吸数とすることが多いですが、呼吸リズムの乱れがあれば30秒~1分測定します。

SpO2低下や、チアノーゼ呼吸苦がみられている場合、医師の指示に従って酸素投与をしてから呼吸数を測りなおします。酸素投与をしても改善しない場合は、その旨を報告しましょう。

③収縮期血圧≦100mmHg

もちろん、普通に血圧を測定した値を報告しますが、このとき橈骨動脈が触知できるかを確認しておきましょう。

のちにショックに陥った場合、橈骨動脈の触れの強さによって、おおよその血圧が予測できます。橈骨動脈が触れない場合、他の動脈が触知できるかも確認します。

それぞれの動脈触知と血圧の関係(値は参考値)は以下の通りです。

橈骨動脈が触れなければ収縮期血圧は80mmHg以下

大腿動脈が触れなければ収縮期血圧は70mmHg以下

動脈が触れなければ収縮期血圧は60mmHg以下

これは私調べですが、自分が焦っているときは動脈が触れない(見つけられない)ことがあります。触れなくて焦って一生懸命脈が触れる場所を探した経験が私にもありますが、他の人(先輩でも後輩でも)に一緒に確認してもらうとあっさり見つかったり、触れないことが確実になったりします。橈骨動脈が触れない、血圧も1回測って値が出なければ、とりあえず(その場を離れず)応援を呼びましょう

qSOFA評価のポイント

上記に従って評価したらスコアを出します。1項目該当につき1点、3点満点です。

2点以上でqSOFA陽性となり、SOFAの評価を行うことが推奨されます。

つまり2点以上なら緊急度が高く、迅速に適切な治療を開始する必要があります。

【参考】qSOFA2点以上だったら

qSOFA2点以上と分かったら、次のような流れで検査や治療が進んでいきます。

①医師へ報告

②呼吸状態が悪ければ酸素投与、血圧が70-80mmHg以下なら昇圧剤や細胞外液(点滴)投与

③血液検査、動脈血ガス分析、レントゲン 尿量把握するため膀胱留置カテーテル挿入

④培養検査

⑤抗生剤投与

モニターを適宜観察しながら検査や治療を実施していくため、一人では対処しきれません。ICUに転棟する可能性もあります。

必ず医師へ報告する前にリーダーや先輩に助けを求めましょう

何時に何をしたか、バイタルサインの記録(メモ)を逐一書くようにしましょう。

何をしたらいいか分からなくなったときは、「何をしたらいいですか?」と大きな声で言いましょう。何をするにも「〇〇取ってきます!」と誰かに伝えましょう。声を出してくれることで周りは安心できます。

まとめ

改めて、今日覚えてほしいポイントはこちらです。

発熱時のバイタルサインは、qSOFAを報告する!

qSOFA基準

・意識レベルの変容(GCS<15)

・呼吸数≧22回/分

・収縮期血圧≦100mmHg

ナスちゃん
ナスちゃん

難しくて、不安になってきた・・・

ゆず
ゆず

まずはqSOFAを評価し報告できるようになれば、大丈夫。

その先は医師や先輩が助けてくれます!

ナスちゃん
ナスちゃん

「qSOFA」いつでも見られるところにメモしておこうっと!

参考文献

  1. 日本内科学会雑誌第107巻第11号 ↩︎

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