
患者さんが発熱して、「ちょっとぼーっとしてるけど発熱の影響として様子見します」って言ったら、先輩に怒られちゃった・・・

報告や対応をするべきかしなくていいかのアセスメントって難しいよね。
看護師歴7年、急性期病棟に勤めてきた私が、
今日は発熱時のアセスメントについて分かりやすく解説するよ!
発熱時のバイタルサインは、qSOFAを報告する!
・意識レベルの変容(GCS<15)
・呼吸数≧22回/分
・収縮期血圧≦100mmHg

この記事を読めば絶対的な基準に合わせてアセスメントできるようになるから、自信を持って報告や看護ができるようになるよ!
発熱時にまず最初に考えること:敗血症のリスク
発熱した患者さんがいるとき、一番最初に考えること。
それは、敗血症に移行するリスクがどの程度か、ということです。
敗血症とは、感染症に対する宿主防御反応の制御が上手くいかず、重要臓器の急性機能不全を併発した病態。すべての感染症で起こりうる。
さらに敗血症ショックに移行した場合、致死率は40%を超える1。

発熱した患者さんが、最も高い確率で重症となり得る病態が、敗血症です。
発熱時は、
- 敗血症に移行させない(=早期に抗生剤を投与する)
- 敗血症を早期発見する(=生命維持の治療を開始する)
これが最も優先される対応です。
SOFAとは:敗血症の診断指標

qSOFAを解説する前に、SOFAについて簡単に説明します。
敗血症は「SOFAスコア」を用いて臓器障害の程度を評価し、医師が診断します。
0点 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 | |
---|---|---|---|---|---|
呼吸系(PaO2/FiO2比) | ≧400 | <400 | <300 | <200 | <100 |
心血管系 (平均動脈圧) | >70 | ≦70 | ドパミン<5γ、またはドブタミン使用 | ドパミン5.1-15γ、またはアドレナリンorノルアドレナリン≦0.1γ | ドパミン>15γ、またはアドレナリンorノルアドレナリン>0.1γ |
腎臓系 (Cre、尿量) | <1.2 | 1.2-1.9 | 2.0-3.4 | 3.5-4.9 (<500ml) | ≧5.0 (<200ml) |
肝臓系 (ビリルビン値) | <1.2 | 1.2-1.9 | 2.0-5.9 | 6.0-11.9 | ≧12.0 |
凝固系 (血小板数) | >150 | ≦150 | ≦100 | ≦50 | ≦20 |
中枢神経系(GCS) | 15 | 13-14 | 10-12 | 6-9 | <6 |

参考にSOFAスコア表を載せましたが、敗血症になると呼吸系、心血管系、腎臓系、肝臓系、凝固系、中枢神経系に障害が表れることがあることを知ったら、次に進もう!
SOFAスコアを出すには、動脈血血液ガス分析、血液検査が必須となります。
そのためまずは、患者の緊急度とこれらの検査の必要性を簡単に測るために使われるのが、「qSOFA(quick SOFA)」です。
qSOFAとは:ベッドサイドで使える敗血症の診断指標

qSOFAスコアは、ベッドサイドですぐに評価できるよ。
これを覚えておけば、敗血症のリスクが評価できる、つまり発熱時の緊急度のアセスメントができるようになるよ!
・意識レベルの変容(GCS<15)
・呼吸数≧22回/分
・収縮期血圧≦100mmHg
1項目につき1点、3点満点で評価します。2点以上でqSOFA陽性となり、SOFAの評価を行うことが推奨されます。
①意識レベルの変容(GCS<15)

GCSは、15点満点の意識状態を評価するスコアです。
つまり「自発的に開眼しない」、「失見当識」、「命令に応じられない」のうちいずれか一つでも見られたら、qSOFAスコアは+1点となります。

発熱患者さんの意識障害はよくあるけど、ほんの少しの変化でも重症の可能性があるんだね・・・
②呼吸数≧22回/分

呼吸数は、成人では12-18回/分が正常です。
呼吸数が増加=頻呼吸となっている場合、体内で酸素が不足しているサインです。
SpO2、チアノーゼ、呼吸苦の有無も合わせて観察し、酸素投与の必要性も検討しましょう。
③収縮期血圧≦100mmHg

病原体が体内に侵入すると放出される炎症性サイトカインの影響で、血圧が低下します。
収縮期血圧が100mmHg以下の場合、敗血症性ショックとなるリスクが高まります。
もともとの血圧からどれくらい下がっているのかも合わせて観察、報告しましょう。

この項目に沿って報告すればいいんだね。

そういうこと!
例えば「もともと意識清明な患者さんでGCS:E3V5M6と意識障害あり、呼吸数24回/分と頻呼吸でSpO2:94%、苦悶様表情あり、収縮期血圧は120mmHgで普段と変わりありませんが、qSOFAスコア2点で敗血症のリスクが高いと考えます。検査やモニター装着の指示をいただけますか。」といった感じで医師に報告できるといいよ!
【参考】qSOFA2点以上だったら
qSOFA2点以上と分かったら、次のような流れで検査や治療が進んでいきます。
①医師へ報告
②呼吸状態が悪ければ酸素投与、血圧が70-80mmHg以下なら昇圧剤や細胞外液(点滴)投与
並行して家族への連絡
③血液検査、動脈血ガス分析、レントゲン 尿量把握するため膀胱留置カテーテル挿入
④培養検査
⑤抗生剤投与

モニターを適宜観察しながら検査や治療を実施していくため、一人では対処しきれません。ICUに転棟する可能性もあります。
必ず医師へ報告する前にリーダーや先輩に助けを求めましょう。
何時に何をしたか、バイタルサインや観察項目の記録(メモ)を逐一書くようにしましょう。
何をしたらいいか分からなくなったときは、「何をしたらいいですか?」と大きな声で言いましょう。何をするにも「〇〇取ってきます!」と誰かに伝えましょう。声を出してくれることで周りは安心できます。
まとめ
発熱時のバイタルサインは、qSOFAを観察して報告しよう!
・意識レベルの変容(GCS<15)
・呼吸数≧22回/分
・収縮期血圧≦100mmHg

今日はqSOFAを使ったアセスメントについて解説したよ!

ちょっとこわくなってきちゃったよ・・・

まずはqSOFAを評価し報告できるようになれば、大丈夫。
その先は医師や先輩が助けてくれます!

「qSOFA」いつでも見られるところにメモしておこうっと!

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参考文献
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