【第7回】低血糖の症状と対応!なりやすい人の特徴は?【看護のコツ】

その行動低血糖にさせてない?
ナスちゃん
ナスちゃん

今度糖尿病の患者さんを受け持つことになったんだけど、どんなことに気をつけたらいいのかな~?

ゆず
ゆず

糖尿病でまず注意しなきゃいけないのは低血糖だね!

看護師歴7年、急性期病棟に勤めてきた私が、低血糖の症状と対応について分かりやすく解説するよ!

今日のポイント

糖尿病患者の交感神経亢進症状がみられたら、すぐに血糖測定

体調不良時は糖尿病薬を投与する前に指示をあおぐ!

ゆず
ゆず

これを読めば、低血糖の予防や早期発見ができるようになるよ!

低血糖とは:人には低血糖にならないメカニズムがある

低血糖は、血糖値(血液中のグルコースの濃度)が70mg/dL以下に低下し、身体にさまざまな症状が現れる状態のことです。

グルコースは身体のエネルギーとなる物質です。血糖値が低くなれば、臓器が正常に機能できなくなってしまいます。

健康でも低血糖になる?

人間の身体には低血糖を防ぐためのメカニズムが備わっており、簡単には低血糖が起こらないようになっています。

空腹時や運動時など血糖値が下がると、グルカゴンが血糖値を上昇させようと働きます。

グルカゴンがうまく働けないときでも、コルチゾール(糖質コルチコイド)、アドレナリンノルアドレナリン成長ホルモンが血糖値を上昇させるために放出されます。

一方、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみです。

ゆず
ゆず

つまり、健康な人が低血糖になることはほとんどありません。

どんな人が低血糖になるの?

低血糖になる一番の原因は、インスリンなどの糖尿病治療薬です。

それ以外に次のような原因で低血糖になることがあります。

  • インスリノーマ(インスリンを過剰に分泌してしまう膵臓の腫瘍)
  • 胃切除後症候群(胃ではなく小腸で炭水化物が消化されるため急激に血糖値上昇→過剰なインスリン分泌→低血糖)
  • 肝不全(肝臓のグルカゴンが不足する)
  • 腎不全(薬剤やインスリンが排泄されないなど)
  • 極度の摂食障害(グルコース不足)

今回は病棟で出会うことが特に多い、糖尿病患者さんが低血糖になる場合について詳しく解説します。

低血糖の原因5選:食事、薬、運動、飲酒、シックデイ

糖尿病患者さんがなぜ低血糖になるの?

糖尿病患者さんは、高血糖を防ぐために血糖降下薬を内服・注射しています。

この効果が強く出すぎてしまうと、低血糖になります。

では、どういったときに血糖降下薬の効果が強く出すぎてしまうのでしょうか。

ゆず
ゆず

低血糖の原因4選を解説していくよ!

食事量の減少

  • 食事量(主食)が減少した
  • 食事と食事の間の時間が延びた
  • 朝食など一食抜いた

このように、入ってくるグルコースの量が減ってしまえば、正しく薬を投与していても低血糖になります。

ナスちゃん
ナスちゃん

朝食を抜いたら、その分の薬を飲まなければいいんじゃないの?

ゆず
ゆず

糖尿病治療薬は毎食飲む薬ばかりではなく、朝だけ内服する薬もあれば、一週間に一回打つインスリンなどもあります。だから、一回分だけ薬を抜くっていうのは難しいんだ。

ナスちゃん
ナスちゃん

そうなんだ!

薬の過剰投与・タイミングのずれ

  • 処方より多く投与してしまった
  • 食前薬の内服やインスリン注射の後、食事まで時間が空いてしまった
  • 飲み忘れた薬を、食事に関係なく気づいたときに飲んだ

このような場合、インスリンの働きに血糖値の上昇が追いつかず、低血糖となります。

空腹時の運動

糖尿病患者さんは、食事1時間後(血糖値上昇のピーク)の運動が勧められています。

空腹時に運動負荷をかけすぎると、薬の影響でインスリンが働いているにもかかわらずグルコースを消費してしまい、低血糖となります。

多量の飲酒

アルコールは、肝臓での糖新生作用(糖以外の物質からグルコースを作る経路)を抑制します。つまりグルコースが増えにくくなってしまいますので、低血糖になりやすくなります。

また、血糖降下薬とアルコールで相互作用を起こして、血糖値を下げすぎることがあります。

さらに長年の多量飲酒では、肝臓や膵臓に障害が加わりさらにコントロールが難しくなります。

体調不良

糖尿病患者さんは、抵抗力が低下し感染症にかかりやすくなっています。

発熱下痢嘔吐などで食事をいつも通りにとれない状況(シックデイ)になると、食事がとれず低血糖になったり、著しい高血糖になったり、血糖コントロール不良になります。

低血糖の症状:交感神経亢進症状に注意!

低血糖になると、体が血糖値を上げようとして交感神経が亢進します。

ナスちゃん
ナスちゃん

交感神経が亢進したら、どうなるんだっけ・・

ゆず
ゆず

交感神経は「闘争と逃走の神経」。敵と闘うときのような興奮状態になるよ。

交感神経亢進のため、次のような初期症状が起こります。

<初期症状>

  • 冷や汗(発汗亢進)
  • 手足の震え、しびれ(交感神経亢進のためだが詳細は明らかになっていない)
  • 嘔気、嘔吐(消化管運動抑制)
  • 動悸、頻脈(心拍数増加)
ゆず
ゆず

この初期症状は「警告症状」とも呼ばれています。

つまり「低血糖が起きているよ!」のアラームが出ているということ!気づいてすぐに対応できるようにしよう!

低血糖状態が続くと、身体にエネルギーが不足します。

特にはグルコースしかエネルギーとして使うことができないため、脳の機能低下がみられます。

<進行症状>

  • めまい
  • 頭痛
  • 眠気
  • あくび
  • イライラ感
  • つじつまの合わない会話

さらにこの状態が続くと、以下のような重篤な症状が現れます。

<重篤な症状>

  • 昏睡(自発的に開眼しない意識レベルの低下)
  • 痙攣

この状態が続くと、後遺症が残ってしまうことがあります。

ナスちゃん
ナスちゃん

こういう症状がみられたら、どうしたらいいのかな?

ゆず
ゆず

じゃあ低血糖の看護について解説していくね!

低血糖の看護

①血糖測定

上記のような低血糖症状がみられたら、速やかに血糖測定を行いましょう。

症状がなくても、食事がいつも通りに摂取できない・できそうにない発熱や嘔吐・下痢症状があるときは、食事や内服前に血糖測定をしましょう。

②医師へ報告

低血糖症状があるor血糖値70mg/dL以下なら医師に報告&糖分投与の指示を確認します。

低血糖症状がなく血糖値70mg/dL以上でも、食事がいつも通りに摂取できない・できそうにない発熱や嘔吐・下痢症状があるときは、糖尿病薬(経口投与薬、インスリン)の投与前に、医師に患者さんの状況を報告し、指示を仰ぎましょう。

ゆず
ゆず

糖尿病薬をスキップすることがあるから、必ず投与前に確認しよう!

③ ブドウ糖投与

医師から糖分投与の指示が出たら、ブドウ糖を投与します。

粉末は水に溶いて、注射薬は静脈注射で投与します。

低血糖の場合50%ブドウ糖を静脈注射することがありますが、浸透圧が大変高いため、血管炎には要注意です。

逆血が確認できない場合は絶対に投与しないようにし、
採血に使う肘窩(前腕)の皮静脈など、確実に静脈内に投与できる血管を選んで静脈注射しましょう。

なお、20mlを1分~2分かけてゆっくり投与するようにし、血管痛が強い場合や腫れ・漏れが認められた場合は中止しましょう。

まとめ

糖尿病患者の交感神経亢進症状がみられたら、すぐに血糖測定

体調不良時は糖尿病薬を投与する前に指示をあおぐ!

ゆず
ゆず

今日は低血糖の症状と対応について解説したよ!

ナスちゃん
ナスちゃん

低血糖がどんなときに起こりやすいか分かったから、注意するポイントが分かったよ!

ゆず
ゆず

よかったら読者登録して次回記事も楽しみにしてね。

みんなが少しでも楽しく看護できるように、これからも応援しているよ!

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