患者さんが発熱したらとりあえずクーリング・・それでOK?

タイトルの答えはズバリ・・・場合によります!笑

ナスちゃん
ナスちゃん

場合によるってどういうこと!?

答えを教えてよ!

ゆず
ゆず

ごめんごめん!

クーリングしていいか、

見るポイントがあるから解説していくね。

今日のポイント

クーリングするのは…

 手指があたたかい、患者さんが「暑い」と言っているとき、体温が40℃以上のとき

クーリングしない(むしろ保温する)のは…

 末梢冷感シバリングがある、患者さんが「寒い」と言っているとき

ゆず
ゆず

ポイントの通りに看護すれば正解です◎

ナスちゃん
ナスちゃん

どうしてこれが正解なんだろう・・?

ゆず
ゆず

理由を説明するね!

今日のキーワードは「セットポイント」だよ!

発熱の機序

発熱の機序には主に2種類あります。

  1. 気温が高いなどの外環境により、体温調節が追いつかず発熱する=熱中症
  2. セットポイントが上昇し、発熱する

セットポイントって何?

セットポイントとは、体内の設定温度のことです。

視床下部の体温調節中枢にあります。

セットポイントが上がれば体温も上がり、セットポイントが下がれば体温も下がる仕組みです。

どうしてセットポイントが上がるの?

セットポイントが上がるのは、細菌やウイルスといった病原体が体内に侵入したときです。

体温を上げることで、病原体に対する免疫力を高め、細菌やウイルスの力を弱めることができます。発熱は、病原体に対する防御反応なのです。

腫瘍熱という、がん患者さんが毎晩発熱する現象があります。これは、悪性腫瘍を病原体と誤認し、セットポイントが上がることで起こる発熱です。

体温が上がるまで体に起こること

セットポイントが上昇したら、自動的に体温が上がるわけではありません。

体温を上げるには体が頑張る必要があります。設定温度を上げられた暖房のごとく、体力を使って体温を上げるのです。

このとき体内では、次のようなことが起こっています。

・骨格筋を収縮し熱産生→シバリング

・末梢血管を収縮し熱放散抑制→末梢冷感

・体温とセットポイントの差で相対的に「寒く」感じる→悪寒

体温が下がるまで体に起こること

炎症が改善すると、セットポイントが下がります。

すると今度は、設定温度を下げられた冷房のごとく、体温を下げるように体が頑張ります。

・骨格筋収縮を抑制し熱産生抑制→倦怠感

・末梢血管を拡張し熱放散→発汗手指があたたかくなる頭痛

・体温とセットポイントの差で相対的に「暑く」感じる

発熱の看護

以上を踏まえて、発熱時の看護を一緒に考えてみましょう。

体温が上がっているときの看護

患者さんにシバリング末梢冷感悪寒がみられるときは、すでに上がったセットポイントに向けて一生懸命体温を上げているサインです。

この時点で患者さんが辛そうにしているし、熱が上がると大変だから、とクーリングを始める看護師さんを何度か見たことがありますが、これは間違いです!

セットポイントまで体温が上がり切らない限り、シバリングは止まらないからです。

つまり、セットポイントまで体温を上げればシバリングは止まりますから、体温を上げるお手伝いをしてあげましょう。

そう、保温です。

  • 室温を上げる
  • 衣服や掛け物を増やす
  • 電気毛布を使う

このように保温をして、患者さんをあたためましょう。

体温を下げるための看護

ナスちゃん
ナスちゃん

せっかく体温が上がって免疫力が高まったなら、

自然に解熱するのを待った方がいいのかな?

ゆず
ゆず

ナスちゃんさすが!

ここまでの内容をよく理解できているね。

でも体温が上がったままだと、以下のようなデメリットがあるんだ。

体力が奪われ、逆に抵抗力が落ちてしまう

自分が発熱しているときを思い出してください。だるくて、水分をとるので精一杯、ごはんは食べる気にならないし、なんだか頭も痛い・・。この状況が続けば、脱水や栄養不足になるし、体力がどんどん奪われていってしまいます。

②体温が40℃以上の場合

体温が40℃を超えた状態が続くと、体内のタンパク質も変性してしまう可能性があります。

ゆず
ゆず

だから、体温が上がり切ったら体温を下げる必要があります。

ナスちゃん
ナスちゃん

なるほど!

体温が上がり切ったってどう判断するの?

ゆず
ゆず

シバリング末梢冷感悪寒がなくなったら、体温が上がり切ったサイン!

クーリング解熱剤の投与を開始しましょう。

クーリングってどうやるの?

患者さんの体温を下げるためにクーリングします。

まずは、衣服や掛け物の調整室温を調整します。

そして氷枕やアイスノンを、太い血管が皮膚表面近くを通っている部位(頸部腋窩鼠径部)に当てて冷やします。

ゆず
ゆず

血液を冷やすことで体温を下げることができます。

また、クーリングの目的は体温を下げるためだけではありません。

患者さんの苦痛を取り除き、爽快感を得てもらうことも大切な目的です。

頭部を冷やすのは、クーリングにはあまり効果的ではないからダメ!!ではないのです。患者さんが気持ちいいと感じていたら、それは正解だと思います。

ゆず
ゆず

頭のほかに頸部、腋窩、鼠径部のいずれかもしくは2点をクーリングしよう!

解熱剤はいつ投与する?

解熱剤は基本的に、体温が上がりきってクーリングを開始するタイミングで投与します。

しかし発熱に耐えられる体力がない場合や、発熱症状で強い苦痛がある場合は、早めに解熱剤を投与することも考慮できます。

解熱剤は、視床下部の体温中枢に作用し、セットポイントを下げる働きがあります。

早く投与すれば、体温の上昇を抑え、苦痛を和らげることができます。

視床下部に障害があり体温中枢がうまく働かなくなっている場合、解熱剤の投与では体温が下がらない場合があります。その場合、クーリングや室温の調整で体温を下げることになります。

まとめ

では今日のポイントをもう一度見てみましょう。

クーリングするのは…

 手指があたたかい、患者さんが「暑い」と言っているとき、体温が40℃以上のとき

保温するのは…

 末梢冷感シバリングがある、患者さんが「寒い」と言っているとき

ナスちゃん
ナスちゃん

発熱している患者さんに出会ったら慌てちゃってたけど、

患者さんの訴えに合わせた対応をすればいいんだね。

ゆず
ゆず

まったくその通り!

看護が上手になる第一歩は、患者さんの訴えをよく聞いて、患者さんをよく観察することから始まります!

困ったことがあったらいつでも相談してくださいね。

ナスちゃん
ナスちゃん

一緒にがんばろうね!

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